鬼部長の優しい手
「えー…、七瀬
帰っちゃうのか…?」
部長は強く私の腰をぎゅっと抱きしめ
少し屈んだ状態から上目遣いをしながら
そう聞いてきた。
う…っ、その顔は反則!
泣きそうな顔でそんなこと言われたら、
帰りたくなくなるじゃない。
部長を支えながら、
マンションの前に立っていると、
部長からまた、穏やかな寝息が聞こえてきた。
「嘘…
また寝ちゃったんですか…っ!?」
そんな…帰ろうと思ったのに…
でも、このまま部長を置いていくわけには…
よし、仕方ない。
「部長、部長!
自分の家が何号室かわかりますか?」
「あー…?うー…ん
603…号室…」
…なんで、私こんなとこに
いるんだろう…