鬼部長の優しい手


「七瀬?…返事を聞かせてほしいんだが…」

なにも言わずに泣き続ける私の顔を
覗きこみ、不安そうに聞いてきた部長。

…バカ。答えなんてわかってるくせに。
だって部長ちょっとわらってるもん。

「…私を奥さんにして、
後悔したってしりませんよ。
…わがままとか、言っちゃうかも
しれません。」


悔しくなった私は、部長を睨み、
震えた声でそう言った。


「お前のわがままなら、
喜んで受け入れる。」

「…もう、部長のバカ。

こうなったらもう、離れませんから!」


そう叫んだ私を優しく抱き締めてくれた部長。
お墓参りに来たのに、こんなことになって、不謹慎だけど私はすごく幸せだった。
紗耶香さんにも会えたし、なんか
吹っ切れた感じ。


「…俺も、こうなったらもう、
お前を絶対離してやれない。

最終確認だ。それでもいいな?」



この期に及んでこの人は、なんてこと
言い出すんだろう。
…本当に、全然伝わってない
私の言いたいこと。
さっき、離れませんって言ったのに…




「…望むところです。
離したら許しませんからね!」


意地悪な笑みを浮かべる部長に、
今度は私から抱きついてそう言った。






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