鬼部長の優しい手
「まったく、あんたのそのドジさには
呆れる限りね。
いい年した大人なんだから、
しっかりしなさいよ」
「う……っ、はい。以後気を付けます……」
黛実にも怒られた……
しっかりしなくちゃ!
よし、早速言われた書類整理をしよう。
今度は隅々までチェックして、
正確に、慎重に!
私がそう意気込み、山積みになった
書類に手をかけようとしたとき、
「こんな量、あんた一人で終わるわけないじゃない。
これだけ、貰ってくよ」
そう言って、黛実はスッと山積みの書類に手を伸ばし半分以上もの書類を
さっさと自分のデスクに持っててしまった。
黛実さん!かっこよすぎる!!
自分だって忙しいのに、
優しいなぁ、黛実は。
「やっぱり、付き合うなら黛実みたいなのがいいね!」
「しょうもないこと言ってないで、
さっさと仕事にかかりなさいよ、ドジ」
「はーい!」
私がボソッと呟いた一言にすかさず
ツコッミを入れる黛実。
ブライダル業は大変なことも多いけど、
今のところは、楽しくやれてるかも。
あの“鬼部長”に関して以外は。