鬼部長の優しい手


「まったく、あんたのそのドジさには
呆れる限りね。

いい年した大人なんだから、
しっかりしなさいよ」


「う……っ、はい。以後気を付けます……」




黛実にも怒られた……



しっかりしなくちゃ!

よし、早速言われた書類整理をしよう。
今度は隅々までチェックして、
正確に、慎重に!


私がそう意気込み、山積みになった
書類に手をかけようとしたとき、

「こんな量、あんた一人で終わるわけないじゃない。



これだけ、貰ってくよ」


そう言って、黛実はスッと山積みの書類に手を伸ばし半分以上もの書類を
さっさと自分のデスクに持っててしまった。



黛実さん!かっこよすぎる!!
自分だって忙しいのに、
優しいなぁ、黛実は。


「やっぱり、付き合うなら黛実みたいなのがいいね!」


「しょうもないこと言ってないで、
さっさと仕事にかかりなさいよ、ドジ」

「はーい!」




私がボソッと呟いた一言にすかさず
ツコッミを入れる黛実。


ブライダル業は大変なことも多いけど、
今のところは、楽しくやれてるかも。




あの“鬼部長”に関して以外は。




< 3 / 188 >

この作品をシェア

pagetop