気まぐれな君も好きだから
遥希のことがたまらなく愛しく感じて、自分からキスして、頬ずりをした。

ついでに頭を撫でてあげたら、いつものやわらかい笑顔が返って来た。

でもなぜかやりきれない切なさみたいなものを感じて苦しくなってしまうのは、遥希のことを本気で愛し始めているからなのかな..........




「でもね、私、わかるんだ。遥希も私と同じで、本当はもっと言いたいことがあるのに、すぐ我慢しちゃうよね?」

「..........。」

「だから私には、我慢しないで思ってること全部言って。そうすれば、少し楽になるでしょ?」

「..........。」

「もう離れないから。」

「ホント?」

「うん。これからは、ずっと遥希のそばにいる。」

「歩未.....。」



遥希は痛くなるくらいキツく私を抱きしめた。

そう宣言してしまったら、私の心も軽くなった。



だって放っておける訳がない。

遥希はこんなに強くて、優しくて、温かくて.......でも本当は弱い。

私と同じ、自分の意志とは関係なく何かが抜け落ちた環境で育ち、心に開いた穴を埋めてくれる相手を探していたんだと思う。



だから遥希が私を守ってくれるなら、遥希のことは私が守ってあげたい。

そばにいて、温めてあげたい。

痛みを全て跳ね除けるほど、大きな力にはなれないかもしれないけど.......



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