気まぐれな君も好きだから
遥希が、昼間見せたのと同じような穏やかな笑顔を浮かべる。

覚悟は出来てるって言ってるみたいな、妙に大人びた微笑みに胸が痛む。



確かに、わかってるならこんなに切ない恋をする必要はない。

でも今の私たちの状態は、出口の見えない迷路を彷徨っているのと同じだ。

進む方向すらわからないまま、会う度、お互いを思う気持ちが強くなっていくだけ。

余計に苦しくなって行くだけ。

もしかしたら、彷徨うどころか、迷路の中で立ち止まっているだけなのかもしれない。



遥希が私を思う気持ちは、私が遥希を愛しいと思う気持ちの比ではないはず。

こんな中途半端な関係が続けば、いつかきっと我慢の限界が来る。

その時、遥希はどんな風になっちゃうんだろう。

それでも私は、遥希を受け入れられるのかな..........



「もうすぐ着くよ。」

「うん。どんなお店なの?」

「俺、お婆ちゃん子だったって言ったでしょ。子供の時、よくお婆ちゃんと来てた所なんだ。」

「へぇ、そうなんだ。」



ってことは、遥希の家の近所なのかな。

でもここって何処なの?

世田谷? 目黒?

えらい高級住宅地じゃない?
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