気まぐれな君も好きだから
ドキドキが静かに続く中、電車は秋葉原を通過して行く。

何処まで行くのかなと思ったら、次の駅で、古谷君はそのまま私の背中を押しながら電車を降りた。



「行くぞ。」

「うん.......。」



って、どこ行くの?

全然わかんないんだけど。



とりあえず言われるままに着いて行き、改札を出た。

すると古谷君は、高架下に沿って、ずんずん歩き始めた。



「高校の時の友達がさ、会社辞めて寿司職人になったの。」

「へぇ、すごいね。その人、それが夢だったの?」

「うん。この先の店で修行してるんだけど、何かそういうのカッコいいなと思って。」

「そうだよね。夢を叶えるために決断できるって、カッコいい。」

「だろ? 応援したくなるし、頑張ってる奴に会うのって、何かパワー貰えそうな気がしない?」

「する、する。わかる。」

「やっぱり? よし。じゃ、今日は奮発しちゃうかな。」

「やった。」



友達を大切にする古谷君らしいエピソードに、気持ちがホッコリする。

俺様だし、パッと見はクールな印象だけど、古谷君は基本、優しい。

そういうところも好きかも。
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