気まぐれな君も好きだから
仲の良い友達の所に私を連れって行ってくれるっていうのも、実はすご〜く嬉しい。

でも団体で行くならわかるけど、彼女でもないのに、私一人だけを連れていくのはどうして?

どんな意味があるのか聞いてみたいけど、聞いてもいいのかな。

聞いたら、答えてくれるのかな..........



「着いた。何か緊張する。」

「ふふふ.......らしくない。平気な顔して入っちゃいそうなキャラなのに。」

「そんなことないよ。だから一緒にいて、ホッとできそうな奴と来たんじゃん。」

「.......え?」



ほら、また思わせぶりなセリフ。

私はこれに六年も惑わされている。

嬉しいけど、言われる度、ちょっと切なくなる。

だって古谷君の本心が見えないから。



「ま、それはいいから。ほら、入るぞ。」

「うん.......。」



上野という場所柄なのか、「いかにも高級」っていう感じじゃなく、明るい雰囲気の入りやすい感じのお店だ。

古谷君に続いて暖簾をくぐると、カウンターは満席だった。
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