堅物くんとの恋愛過程
いたたまれない気持ちをガンガンと引きずりながら
「あ、それじゃあ」
その場を後にしようとする。
「あ!胡桃沢さん」
だけど佐伯くんに不意に呼び止められ、私は咄嗟に振り向いた。
「え……?」
「髪止めが緩んでいます」
「え?緩む?」
今日はヘアピンなんかしてこなかったはずなのに……。
「………」
「………」
佐伯くんは私の頭上で何やら作業をしているようだった。
「はい。これで大丈夫です」
「…………」
「桜井先生に言われましてね。この髪止めは違反にはならないそうです」
「………」
手触りだけで、前に私が着けてきたものだと察する。
だけど
「へ、へぇ。萌香先生に確認したんだね」
「あ、あぁ。まぁ……」
「…………」
一瞬、口ごもる佐伯くんが……
余計に辛いよ。