堅物くんとの恋愛過程



いたたまれない気持ちをガンガンと引きずりながら




「あ、それじゃあ」




その場を後にしようとする。




「あ!胡桃沢さん」




だけど佐伯くんに不意に呼び止められ、私は咄嗟に振り向いた。




「え……?」




「髪止めが緩んでいます」




「え?緩む?」




今日はヘアピンなんかしてこなかったはずなのに……。




「………」




「………」




佐伯くんは私の頭上で何やら作業をしているようだった。




「はい。これで大丈夫です」




「…………」




「桜井先生に言われましてね。この髪止めは違反にはならないそうです」




「………」




手触りだけで、前に私が着けてきたものだと察する。




だけど




「へ、へぇ。萌香先生に確認したんだね」




「あ、あぁ。まぁ……」




「…………」




一瞬、口ごもる佐伯くんが……




余計に辛いよ。




< 18 / 79 >

この作品をシェア

pagetop