堅物くんとの恋愛過程
「も、もしもし?」
口から心臓が飛び出してしまいそうなくらい
うるさい私の鼓動。
『あ……胡桃沢さん。こんばんは』
「こ、こんばんは」
律儀に挨拶なんて……佐伯くんっぽい。
『本当はメールにしようと思ったのですが……なかなか文章がまとまらず、結局電話をしてしまいました』
「………」
文章って、作文じゃないんだから(笑)
『あ……今、大丈夫ですか?』
「うん。実はね、私もちょうど佐伯くんにメールしようかなって思ってたとこなんだ」
『そうだったんですか。それは好都合でしたね』
「うん」
好都合と言うより
2人のタイミングがピッタリ合ったことが嬉しいよ。
『それで僕に用事とは一体なんだったのでしょう?』
「…………え?」
『何か困ったことでもありました?』
「あ……いやぁ……」
瞬時に悟る。
やっぱり佐伯くんにとって
“気軽に”という言葉は存在しないものなのだろう、と。