堅物くんとの恋愛過程
ゆっくり文弥くんの顔を覗き込む。
「んー?」
「・・・な」
焦るようにして私から視線を逸らす文弥くん。
前に”恋人同士なんだから一緒にお昼食べよう”って提案したのだけど
”舞さんのお友達に寂しい思いをさせてしまうので”と
こんな時にも真面目で優しい一面を見せてくれた文弥くん。
私と玲ちゃんの友情を気遣ってくれるのは嬉しいけど
彼女としては、彼氏のお昼事情も心配なとこ。
特に文弥くんは1人暮らしだって言うし、きちんとした食事を摂っているのかなあ。
「文弥くん、正直に答えて?」
私の追求の手は緩まない。
「や・・・実は」
「うん」
ようやく観念したのか、文弥くんは恥ずかしそうに頭に手をやった。
「毎回、基本お昼は・・・バナナと牛乳だけなんです」
「・・・はい?」
「僕、弁当を作るのが苦手で・・・」
「・・・」
何だろう。
これが母性本能って言うのかな。
目の前にいる文弥くんが、すっごく可愛く思えてきてしまった。
いつもは凛としていて、強くたくましいイメージの文弥くんだけど
こんな可愛らしい一面を見せられてしまったら・・・
「明日から文弥くんのお弁当も作ってくるから一緒に食べよう?」
そう決断をするのに時間はかからなかった。