aqua regia
水も滴る、


部活に顔を出さないといけないという木暮の委員会の仕事を代わりにやっていた。

校舎裏の花壇に水をやる。花の名前は分からないけれど、植物は嫌いじゃない。三年になったら理系に進もうとも考えている。

ホースから出る水を見て、虹が見えないかなと少しだけ期待した。そのくらい今日は良い天気だった。

急に水の出が悪くなって、蛇口の方を見る。

自分がホースを踏んでいたのに気付いて、足を退けた時にはもう遅い。

花壇に向いていなかったホースの先から勢いよく水が出てきた。

そして、滅多に通らないこんな場所に人影まで。

女子。綺麗なサラサラの茶髪が水に濡れていた。固まっていた彼女の闇よりも濃そうな双眸が俺を睨みつける。



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