aqua regia
敵意や憎悪も飲み込んで、悲しいというような眼だった。
「どうだろ、よく分からない」
起き上がって肩を竦める。諦めてるという顔で、俺は苦笑いで誤魔化した。
今すぐには無理だろう。彼女の闇は悲しみの青よりも深い気がする。
「そっか」
「あ、思い出した。いっしょうびんさんえん」
急にゴロ合わせを言った彼女は、先程とは打って変わって閃いた顔。
「硝酸三と塩酸一の割合っていうのだよね」
「そう、王水のね」
2014.05.23


