G.H.Emperor
美男美女といっても二人のタイプはまるで違った。
則子は美人というより可愛らしい顔立ちで、幼さの残る素朴で清楚な容姿に対し
土伊東桐耶は正に作り物めいた美男子で、笑っていても静謐さを醸し出す魅力的な風貌をしていた。
私はこの笑顔が苦手だった。
親友則子と付き合っているのだから、必然的に私も土伊東桐耶と話す機会はある。
だが彼がいかに朗らかで気さくに、優しげに笑いかけてきても
私には彼の顔が、貼付けた笑顔のようにしか見えなかった。
けれどそれは親友の彼氏に対して失礼だ、そう思い直す。
……しかし
「ねぇ雪乃ちゃん」
何日かぶりの二人での帰り道。
「桐耶くんの笑顔……あたし不安なんだ」
則子は私にそう言った。