恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜
急いでいたけれども、真琴は少し考えたいと思った。……でも、考えて結論は変わるだろうか?多分、目的地は古庄と同じところを目指している。古庄の言うように、今決断しても、考えてから決断しても、結果は変わらない。
今これを書いたとしても、すぐに提出するわけではないだろうから、その間にいろんなことを考えればいい。
それに……、古庄に頼まれたことならば、どんな些細なことでも聞いてあげたい…。
自分も、ちゃんと真剣に古庄のことを想っていることを、目に見える形で示したい…。
真琴は、覚悟を決めて息を吐き、ボールペンを取った。
印刷機の上の平らなところで、必要事項を書き込む。真琴がハンコを手に取ると、押しやすいように、古庄が甲斐甲斐しくミスプリントの紙を数枚重ねて下に挟んでくれた。
くっきりと押された「賀川」という印影を確かめて、
「よし!」
と、古庄は小さくガッツポーズをした。まるで、顧問をするラグビー部の試合で、生徒が逆転トライを取ったときみたいに。
「あとは、保証人だな」