年下オトコたちの誘惑【完】
「わっ…。あっつー」

結局、悩みに悩んで来てしまった海。朝食を軽く済ませ、着替えると外に行きたくなり、そのまま海へと来てしまった。

“来い”と言ったのはアイツだし、いいよね。多分…。

ゆっくりゆっくりと、昨日ワンコロ眞一郎と歩いた道を歩く。それにしても昨日は驚いたなぁ。いきなり現れて『お姉さん、今ヒマですか?』なんて聞くんだから。

思い出したら少しニヤけてしまった。危ない、危ない。怪しい奴になってしまう。

「こわっ‼︎」
「え?」

突然声がして、横を見るとそこには、ライオン碧都がこっちを見て眉間にシワを寄せていた。

やぁだー‼︎見られてた⁉︎ニヤついてたのを、きっと見たんだよね⁉︎だから、『こわっ‼︎』って言ったんだよね⁉︎

あぁ、最悪…。よりによってコイツに見られるとは…。これならまだ、ワンコロ眞一郎かヤマネコ尚樹がよかった…。

「お前、マジで来たのな」

言われた…。それ、一番言われたくない言葉だったのに…。やっぱり、来たらダメだったんだ。昨日のは冗談だったんだ。

なにやってんだろ、わたし。あの言葉、間に受けちゃってさ。そうだよね、わたしばばぁだしね。

鼻の奥がツンとしたわたしは、すでに泣きそうな顔になっていたかもしれない。早いとこ退散してしまおう。そんで、美味しいゴハン食べて忘れよう。

「バーカ」

なっ…⁉︎い、今『バカ』って言った⁉︎なによ、なによ‼︎そうやって、わたしのことバカにしちゃってさ…‼︎年下のくせに‼︎

「ほら、行くぞ」
「い、行かない‼︎」

ライオン碧都に腕を掴まれたけど、とっさに腕を振り切った。そんなわたしをライオン碧都は、得意の睨みをきかせてきた。

「だ、だって‼︎わたし来ちゃいけなかったんでしょ…」

ライオン碧都の睨みは、ほんとに怖くて、耐えられなくなった。

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