年下オトコたちの誘惑【完】
「でも、杏は俺がいなくても大丈夫そうだから、安心した」
「そんなことっ‼︎」

俺がいなくても、なんて言わないで…。

「悠ちゃんのこと、わたしもずっと大切な存在だよ‼︎ずっと傍にいてくれて、家族みたいで…。ううん、わたしの家族だよ…」
「俺も杏のこと、家族だと思ってるよ。これからも、妹だと思っていい?」

ジワジワと溢れてくる涙。そんなわたしに気付いた悠ちゃんは、親指で優しく拭ってくれて。

「杏、幸せになるんだよ。絶対、杏は幸せになれるから。そこは、お兄ちゃんが保証する」

わたし、幸せになれるのかな…。でも、悠ちゃんの笑顔が『大丈夫だよ』と、言ってくれてる気がする。

「悠ちゃんも、幸せに、なってね?」
「あぁ。って、泣くなよ。ったく…」

『杏は泣くと寝るクセがあんだから…』そんなことを言ってた気がする。

わたしは、泣くと疲れて寝てしまうクセがある。

よくそれで悠ちゃんには、『お前は子供みたいだな』って、いつも言われてた。

最後の最後まで、悠ちゃんに迷惑かけちゃったな…。

結婚するんだから、わたしもお兄ちゃん離れしなきゃいけないのかな…。

奥さんになる人に悪いもんね。奥さん、どんな人かなぁ?

気が合うといいなっ。でもきっと、悠ちゃんが選んだ人だもの。

ステキな人に違いないよねっ。
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