年下オトコたちの誘惑【完】
「あ、また悪い風に考えてるだろ?それ、杏の悪いクセだぞ」

そう言うと悠ちゃんは、わたしのおでこを小突いた。

「だって…」
「まぁ、聞けって。杏がさ、前のカレと付き合うってなった時、俺反対したよな?それでも杏が幸せになるならイイと思った。でも、結果別れることになって。杏は、スゴく傷付いたよな?その原因も俺は知ってたから、杏の気持ちを考えると俺もツラかったよ」

悠ちゃんは、毎日のようにわたしの家に来てくれて。

ゴハンが食べれなくなったわたしの為に、ゴハンを作ってくれたり、外にも出れなくなったわたしを、ドライブに連れてってくれたりした。

そのおかげでわたしは、こうやって働けるようにもなったんだけど。

「その時から付き合ってた人がいたわけね。けど、杏がこれから先。誰も好きにならなかったら」

悠ちゃんは、一つ呼吸を置いた。

「杏を嫁にもらおう、って思ってた」
「へっ⁉︎よ、め…⁉︎」

嫁って、奥さんだよね⁉︎わたしが、悠ちゃんと結婚っ⁉︎

「杏、俺のことオトコとして見たことなかっただろ」
「…ごめん」

やっぱり悠ちゃんは、お兄ちゃんみたいな存在だったから…。

「いいよ、気付いてたし」
「え、あの、その…。悠ちゃんは、わたしのこと…」
「うーん、好きだったのかなぁ?ごめん、俺もよくわかんないや。ただ、杏はとても大切な存在だったよ。もちろん、今でも」
「悠ちゃん…」

全然、知らなかった…。悠ちゃんが、そこまでわたしのこと思ってくれてたなんて…。
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