年下オトコたちの誘惑【完】
夜のお仕事をサボるわけにもいかず、わたしが落ち着くまで抱きしめてくれてた碧都。

少し落ち着いたところで、再び歩き出した。

正確には碧都はサボる気満々だったんだけど、わたしが許さず。

夕方だってみんなに押し付けて、わたしが起きるのを待ってくれてたのに、夜までみんなに押し付けるなんて、できないもの。

「あ!杏ちゃん、待ってたよぉ‼︎」

あの後は、お互い無言で歩いた。けど、居心地は決して悪くなかったと思う。

ドアを開けると、眞一郎が飛び跳ねて、わたしのところまで来てくれた。

「また、わたし寝ちゃってごめんね…」
「ううん‼︎大丈夫だよぉ‼︎それより、あのオトコは杏ちゃんの、なんだったの‼︎」

少し不機嫌そうになった眞一郎の顔。視線を感じて、目を左右キョロキョロすれば尚樹と楓までが、わたしを見ていた。

「あー、悠ちゃんのこと?悠ちゃんは、ただの幼なじみだよ。でも、わたしにとって特別な人、家族みたいなものかな」

だってそれは事実だしね。

「へぇ。家族みたいな人、ねぇ…」

納得がいかないような顔で声で言ってきたのは、尚樹。

「杏の兄貴なんだろ?」
「えっ」

なんて言っていいか困っていると、上から降ってきた碧都の言葉に思わず見上げた。
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