年下オトコたちの誘惑【完】
「……そんなこと、言うな」
「えっ…?」
「ケダモノ、なんて言うなよ。碧都って、呼んで」

ど、どうしちゃったの⁉︎急に口調が変わって…。

「ほら、早く。碧都、って呼んで」

どうしよう…。呼びたいのに、喋れない。ううん、声が出ない。

喉がカラカラで、『碧都』って言いたいのに、全然言えない。

「言ってくんねぇなら、キスすんぞ」
「……⁉︎」

キ、キスって⁉︎やだっ、それだけは避けたい‼︎

だって、年の差8歳だよ⁉︎そんなのダメ、ダメだってば‼︎

そう思ってるのに、相変わらず喉がカラカラ状態で、声が出てくれない。

「なんにも言わないってことは、していいんだな?」

その言葉とともに、碧都の顔が近付いてきて。一所懸命、首を横に振っても碧都の顔がだんだん見えなくなって。

これはさすがにマズイ‼︎と、何とか声を振り絞って。

「あ、お…っ‼︎」

碧都の名前を言い終える前に、碧都の唇に塞がれてしまった。

「時間切れ」

そう言った碧都の顔は、いやらしくもない、ただただ目を細めて笑っていた。

「着替えたら、来いよ?」
「……うん」

片手を上げ、碧都は静かに部屋から出て行った。
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