年下オトコたちの誘惑【完】
「じゃぁ、次。尚樹は?」
「うん、俺は、カキ氷とかアイスクリームとか、冷たいの作ったりする」
「あ、ちょっと楽しそう」
「楽しいよ。俺が手取り足取り、丁寧に教えてあげるよ」

いや、それは遠慮願いたいわ。手取り足取り、丁寧に教えられたら、わたしどうにかなっちゃいそう。

よし、最後だ。

「じゃぁ、最後。楓は?どんな仕事?」
「ボクはぁ、お客さんから注文受けて、お会計して、みんなに教えるんや‼︎」
「カキ氷一つ〜‼︎みたいな?」
「せやせや‼︎なぁんや、杏ちゃんもうボクの仕事やれるやないの‼︎」

だから、その変な関西弁‼︎自分で変だって思わないのかなぁ?

思わないのか。思ってたら、とっくの昔に直してるよね…。

わたしも関西弁よく分かってないから、わたしが直したところで、実際それが正解なのか分からないし。

うん、放っておこうか。

「うーん、どうしようかな。やっぱり、ずっとイスに座ってパソコンいじってた人間からするとね?全部大変そうなのよ…」

だって、鉄板なんて触ったこともないし。食べ物だって、いつも運んでもらう側だもん。運ぶなんて、考えられないし。

だからもちろん、作るのだって考えられない。たまに会議室にお茶を入れて、運ぶことはあったけど、それとは全然違うわけで。

レジなんて、触ったことないし‼︎人からお金を受け取って、清算とか未知の世界‼︎

数字が出るのかもしれないけど…。それで、渡すお釣りなんか間違えでもしたら、怒られるだけじゃ済まないよね…。

やっぱり全部わたしには、出来そうにないよ…。

いい大人がなに言ってんだって、思うかもしれないけど。

あぁ‼︎さっきまでの強気なわたしは、どこに行ったのよ‼︎
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