年下オトコたちの誘惑【完】
5分くらい歩いただろうか…。

ワンコロ眞一郎と手を繋ぎ(正確には勝手にだけど‼︎)着いた場所は丸太のベンチ。ベンチと言っても、ほんとにただの丸太。

「お姉さん、座ろ?」

チョコっと首を傾げる仕草は、まさにワンコロ。それだけで、動物好きなわたしはキュンとくる。

「いや、あの、いいの…?」
「なにがぁ?」
「なにがぁ?って、そんな怒ることじゃないでしょ。わたしは、“ばばぁ”って言われてイラッとしたけどさぁ。ワンコロは、別にわたしの友人でもなんでもないんだからさぁ」

そうだよ。ワンコロ眞一郎は、なんで怒ったんだ⁉︎“ばばぁ”に対して、わたしがライオン碧都に怒って。それで終わりのはずでしょ?なのに、どうしてワンコロ眞一郎は、わたしに謝れとライオン碧都に言ったんだろう…。

「いいの‼︎もう、あおちゃんなんか知らないんだから‼︎」

恋人かっつーの。なんなんだ、こいつらの関係って。

「だって、あおちゃんが悪いんだもん。あおちゃんが美人なオンナ連れて来いって、ボクに命令してくるから‼︎」
「いや、なんか、ごめん…」

きっとアレだよね。“美人なオンナ連れて来い”って言われたのに、見たらわたししかいなかったパターンだよね、きっと…。いや、ほんとごめんなさい…。

「えぇ?どうして、お姉さんが謝るの?ボクは、お姉さんがとても綺麗だったから声かけたんだよ?ぶっちゃけ、ボクのタイプだもん!」

うわぁ…。若いって、スゴイな…。そんなストレートに言えちゃうんだ…。わたしが若い時って、どうたったろうか?

「で、お姉さん」
「え?」

ちかっ‼︎近いから‼︎近くで声がしたと思ったけど、鼻と鼻がくっ付きそうじゃないのよ‼︎もう変にドキドキさせないでよね…。

「さっき言ってたの、ねっ?」
「はっ?え、ちょ、待っ…‼︎」

目を閉じて近づいてくるワンコロ眞一郎の顔を両手で押し返した。

「どうして嫌がるの?お姉さん、欲求不満なんでしょ?」
「いやっ、アレは、違くて…‼︎」
「なにが違うの?ねぇ、ボクもお姉さんとチューしたい!ねっ、しよう?」

このワンコロ‼︎純情そうに見えるだけで、中身はただのオンナ好きじゃないのよ‼︎“ボクも”ってなによ‼︎わたしもキスしたいみたいじゃないのよ‼︎
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