彼氏人形(ホラー)
「お前の気持ちはよくわかった。家に帰ってから話をしよう」


そう言い、葵君は歩き出す。


「待って……!!」


あたしはそれに慌てて付いて行く。


この状態で2人きりになんてできるワケがない。


なにが起こるかわからない。


でも……そんなあたしを実紗が止めた。


「大丈夫だよ、陽子」


「でも……!!」


「あたし、人形相手にビクビクして生きて行くのはもう嫌なんだ。やるだけの事をやってみたい」


「実紗……?」


あたしは実紗の言葉に混乱する。


実紗は一体なにを考えているんだろう?


自ら危険になげうってまで、何をするつもりなんだろう?


「陽子、あたし必ず彼氏人形と止める術を探すから!」


実紗はそう言い、あたしに笑顔を向けて手を振ったのだった。
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