彼氏人形(ホラー)
「危険じゃないの?」


それでもあたしは有里に疑いの視線を投げかけた。


元々そんなに仲良くないグループの有里だ。


いきなり話しかけられた辺りから、あたしは警戒している。


「そんなに心配なら、一度ショップを除いてみればいいじゃない。除くだけで、買わなかったらいいんだから」


有里はそう言い、肩をすくめてみせた。


その仕草はすごく大人っぽくて、あたしには到底似合わないもので、あたしは少しだけ羨ましく感じた。


有里たちのグループは常に彼氏や異性との出会いの話をしていて、そこそこの経験があることは目に見えてわかっていた。


あたしも彼氏ができれば少しは大人の女に近づけるんだろうか。


そんな思いが胸をよぎる。


「ねぇ陽子、今日の帰り少しだけ行ってみない?」
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