あの日あの時...あの場所で
なんとか溜まり場の部屋から引きずり出したキングは、超不機嫌に溜まり場の廊下を歩いてる。
ほら、んな顔してると下の奴等がビビってるから。
ポケットに両手を突っ込んで気だるそうに歩くキングは、本当に面倒臭そうで。
「ちょっと出てくるからね」
ドアの側に居たメンバーに声をかけた。
「いってらっしゃい」
頭を下げる数名に手を上げて溜まり場のドアを開けた。
「さ、キングどうぞ」
キングは無言で俺の開けたドアから外へ出ると、正面に待機させてあった車に乗り込んだ。
あ~ぁ、無理矢理連れ出したから不機嫌だな。
俺は肩を竦めながらも助手席に乗り込んだ。
「複合スーパーまで」
運転手にそう告げる。
「はい」
静かに動き出した車は目的地に向かって走り出す。
バックミラー越しに見たキングは、少し苛立った様に火を着けた煙草を口に銜えたまま、窓の外へと視線を向けていて。
キングは今、何を思ってる?
彼女の事かな?だったら良いんだけどな。
誰にも興味も執着も見せなかったキング。
ううん、人だけじゃなく全ての事において、いつも諦めていた。
無気力で何も望まないキングを俺はいつも歯痒く思ってた。
彼女なら、きっとキングを引き揚げてくれる。
そして、高見へと連れ去ってくれるに違いないんだ。
だから、渡した連絡先が無駄になるなんて嫌だ。
どうにかして、彼女と接触を図らなきゃ。
俺は腕組みをして考える。
彼女には、狼王が常に張り付いてる。
どうやっても、簡単に近づけないんだよなぁ。
しかも、前の海水浴での事もあって、俺は警戒されちゃってるし。
かと言って、女の子を使って彼女を呼び出すなんてのも無理だしなぁ。
あの子は随分と頭が良いから、知らない人間には強固な警戒色を見せるから。
学校が休みってのがねっくだよな。
外部接触が格段と難しくなってる。
さてさて、どうしたのもかね。
うちのキングは、ヒッキーだし。
ほんと、最近心労が絶えない気がする。
まぁ、美保がキングの側から居なくなってくれたからマシだけど。
でも、あの女、まだ何かしてきそうな気がするんだよねぇ。
あいつって強かだからね。
行動は見張らせてるけど、油断は禁物だな。