あの日あの時...あの場所で
「そうだな?茅の外じゃ可哀想だな?」
よしよしと頭を撫でたちぃ君。
「うん、説明して」
「このデカいの俺の弟の豪、で、咲留が瑠樹を頼んだのがこいつ。ここまではいい?」
支配者を指差すちぃ君。
「あ...うん、そう言う事ね」
頷いておいた。
「だから、瑠樹は学校にいる間は豪と一緒に居るんだよ。こいつが送り迎えもしてくれるからね。」
諭された。
「分かった、そうする」
私、方向音痴だし、是非頼みたい。
「豪だ、よろしくな」
口元を緩めた豪が私に手を伸ばしてくる。
「うん、瑠樹です。よろしく」
挨拶を返した私は豪に抱き抱えられた。
もちろん、縦抱きに。
もう....慣れたけどさ、人形じゃないんだから、軽々しく抱っこするのはやめてよね。
「軽くて抱き心地いいな?」
豪が少し嬉しそうだ。
きゃーっとクラスメイトから黄色い悲鳴が上がる。
「煩せぇ」
私を抱いたまま振り向いた豪の一睨みに静まる。
これ、面白い。
「あ、あぁ~!豪、勝手に瑠樹に触れんな」
咲留が怒ってる。
「咲留さんが抱っこしてんのみて、抱っこしてみたかった。それにこの方が俺が大切にしてんの知れ渡るんで、瑠樹の安全は保証されますよ」
なんて豪は言ってるし。
「て、手を出すんじゃねぇぞ?豪だから、安心して任せるんだからな」
必死な咲留に、
「もちろんですよ。尊敬してる咲留さんの頼みですし、瑠樹は必ず守ります」
豪は、私を抱く手に力を込めた。
彼は本気なんだと分かる。
「じゃ、姫の受け渡しも済んだみてぇだし、もう帰れよ」
口を挟んできたのは、今まで静かに見守ってた奥野先生。
ほらほら帰れと4人を急き立てる。
ドアまで追い立てられた4人は口々に喋る。
「あ、豪、瑠樹を頼むぞ、くれぐれもな」
どんなけ心配なの咲留。
「瑠樹、また夕方な?」
手を振るちぃ君。
「寂しなったら連絡してや?迎えにくるさかい」
寂しくても電話するのは、源次じゃないのは確かだ。
「お勉強がんばれよぉ~」
一番勉強が嫌いそうな健に言われると、ちょっとカチとくる。
奥野先生は、無情にドアを閉めてこちらへと戻ってくる。