ヒミツの王子さま!


「言う通りにして」

「は?」

「ほら、目ェ瞑って」

「はあ?」



壱也の声が耳元に聞こえる。


気色悪ッ!


思わず背中に悪寒が走る。
振り返った俺を覗き込む壱也とすぐに視線がぶつかった。



「ここは言う通りにしといたほうが、後々楽でしょ。冷やかされるのはこれが初めてなわけじゃないし。最近流れてた噂を否定するにもちょうどいいんじゃないかな」

「……そ、それは……」



確かに。


俺と壱也と日向が三角関係だとか。
まだいまだに流れてる、あのヨウジって3年と俺と日向の三角関係だとか。



ここで仮にするフリをしといたほうが、後は都合いいかも。



でも……。

ふと視線をめぐらすと、さっきと同じ場所に日向はいて、手に持ってるらしいフォークには食べる寸前のケーキが刺さっていた。


……なにしてんだ、アイツ。



そうだよな……。
日向にも、迷惑かけてんだし。

ここで俺らがフリしといたほうが、いいんだよな……。



自分で自分を説得すると。
俺は振り返って壱也と向き合うような恰好になった。



「……マジでしたら、殺す」

「ぷ。 ハイハイ」



窓の向こう側から、キャーって声がする。
「キースキース」なんてアホな掛け声もする。



次は絶対参加しねぇ……


密かにそう心に誓った。





そっと肩にのしかかる、何か。
目を閉じている俺には見えないけど、きっと壱也の手。


そして、耳の後ろのあたりに触れる暖かい何か。

これも……手か。

つか、なんかリアル……。



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