社宅アフェクション
だいぶ日はのびてきたが、やっぱりこの時間は暗い。
佳乃とさつきちゃんは、お迎えがきて帰っていった。


「さぁ、社宅組も帰りますか」
「私はもと、な」
「俺社宅じゃねぇけど」


直人の呼びかけに京子と酒田くんが反応した。
でも方向は一緒だから、みんなで帰ることになった。


「こんな大人数で帰るなんて初めて!なんかワクワクします!」
「由香里、今日は迎えじゃないの?」
「断りました!先輩たちがたくさんいるって言ったら安心したみたいで!」


いつもテンションの高い由香里だが、さらに興奮している。


「かっちゃんもいれば、社宅メン勢揃いって感じだったんだけどな。まだ部活やってんの?」
「確か8時までやるなぁ、この時期は」
「なんで酒田はここにいんだよ」
「聞くな、宮崎……」


そっか。勝彦、試合出てるんだっけ。ずっと野球一筋でやってきたもんね。酒田くんもかもしれないけど……


こういう話、しなくなっちゃったなぁ。中学くらいの時は、もう少し勝彦のこと知ってた気がするけどな……


「あや姉、お願いがあるんだ」
「ん、あぁ、どうしたの?」


唐突に大陸に話かけられた。
お願い…?



大陸が言いにくそうに下を向いた。


「いいよ?大陸のお願いなら何でもきいてあげるから」


大陸が顔をあげた。
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