社宅アフェクション
「当日、お化け屋敷を手伝ってほしいんだ」
「お化け屋敷を?」


大陸は続けた。


「僕、企画・運営部門になったんだ」
「…あ、蒼空から聞いたよ。そうだ!その話をしたくて、昨日大陸に会いにいったんだった」
「そうだったんだ。あのね、部門の顔合わせの時にスケジュール聞いたんだけど、準備期間は企画・広報が忙しくて、当日は企画・運営が忙しいんだ」


確かにそう。1年生の時に企画・運営部門経験者の私は知っている。


「あや姉も忙しいと思う…でもお化け屋敷を手伝ってほしくて…だから」
「大丈夫、そんなことなら──」


“私に任せて”と言う前に、言葉は遮られた。


「青葉、控えめだなぁ!!私らにも頼めよ!さつ子だったらもっとグイグイくるぞ?」
「さつ子って…さつきちゃんのこと…?」
「他に誰がいるんだ?」


京子が不思議そうに言った。その京子と大陸の間に直人が割りこんだ。


「なぁ、りっくん?俺たちが、お化け屋敷を作り終わったら、すぐポイする人間に見える?」
「直人は見えるよな」
「それはひどいぜ、しゅた~!」


直人がふざけた調子で酒田くんにまとわりついた。


「りっちゃん、お姉ちゃんたちをもっと頼りなさい!」


蒼空も続ける。由香里も隣でうなずいている。


「本当にありがとう、あや姉、きょう姉、そら姉、ゆか姉、なおちゃん、しゅた兄……よろしくお願いします!!」
「あ、なおちゃん覚えてたんだ」


大陸はとびきりの笑顔だった。
今日は何回、大陸の笑顔が見れただろう…
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