社宅アフェクション
メイド服を目の前にして、複雑な気持ちになった。だって、これを着るなんてさ……


直人は今すぐこれを着てほしいって迫ってくるし、佳乃は直人くんばっかり願望を叶えるのは許さないって怒り出すし、挙げ句の果てに私のメイド服の取り合いが始まるし。この服にそこまで人を狂わせる力があるなんて……


クラスの仕事はもうないっていうし、2人からメイド服を奪い返した私はすぐに新体操部の部室に向かった。


本当は装飾部門の仕事も残ってるし、大陸の手伝いの約束もあるけど、私は8月にインハイ控えてるから。


部門のほうはインハイに出場しない後輩2人組 (蒼空と由香里)が頑張ってくれてる。由香里は違う部門のはずなんだけど…?


2人とも、私がベストな状態で試合に向かえるように、私の負担を減らそうとしてるんだ。自分たちの練習時間を削ってまで……。


“先輩は気にしないで部活行ってください”って言ってくれるけど、今はすごく気になるよ。
なんか申し訳ないような、その分頑張んなきゃみたいなプレッシャーとか……


勝彦もこんな気持ちだったのかな。


そういえば勝彦、メール読んだのかな?返事とか何もなかったけど、今朝会ったとき落ち込んだ感じもなかったし大丈夫かな?


話題にあげてぶり返すのもなぁと思って、何も聞かなかったけど──
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