臆病者の散歩道


「え…。」

案の定、柚は立ち止まる。
前は色々聴かれたけど、今度は固まるだけみたい。
何か考えてるみたいだけど…仕方がないから声を掛ける。

「ほら、早く歩けよ。」

「わかってるよ。」

いつのまにか変わってしまった歩幅。
柚に合わせて小さく歩く。

昔は二人で手を繋いで歩いてたけど…
そんな事出来た方が謎で、今は絶対出来ない。

「今日、星月夜だね。」

歩きながら、柚は今更そんな事を言う。

空を見上げると星ばかり。
月は居ない。

月が居なくて、星が月みたいに明るい夜。
それを星月夜と呼ぶ事を俺が教えたから仕方がないのかもしれないけど…。

天体観測はいつも星月夜。
気付いてなかったんだな…。

「だから星、見に行くんだろ。」

「あぁ、そっか。」

いつもより星がきれいに見えるから今日にした。
楽しそうに笑う柚に思わずまた楽しくなる。


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