【短】人妻と、飛び魚と、真夏の果実

明確だった。

迷惑していたんだ。マリエは。

毎晩のメール。海への誘い。
薔薇の花束も。

それは、俺が嫌いだとかじゃない。




『マリエが、旦那を、
一途に愛しているからだ』






公園に着いたのは、約束の時間を1時間以上過ぎていた。


ブランコに黒い影が座っていた。


「小沢!」


俺は驚いた。

小沢夏美がいた。
夜更けに、こんな灯りが乏しい公園に、1人で。


「ごめん。待ち切れなくて。来ちゃった…」


縋るような目で俺を見る。


「馬鹿!危ねえじゃんか!襲われたらどうするんだよ!着いたら、メールするって言ったじゃんか!」


俺のマジの怒りに、小沢は泣き出してしまった。


「早く…逢いたかったんだもん」


シクシク涙が止まらない。


「怒鳴ってごめん…」


目の前の女が愛しくて、たまらなくなった。


「こんな俺でも…いいわけ?」


俺の問いに小沢は、コクン、とうなづいた。


「藤枝が、いいの」


ストレートな視線で俺を見る。




< 16 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop