偽りの婚約者
第7章

「よく来たな親父」

「あぁ、でこちらがお前のお見合い相手の…」

「野々村 美琴と申します」

美琴さんはおしとやかにぺこりと頭を下げた

私と違ってめちゃくちゃ美人…ザ・大和撫子って感じ

「野々村さんのお父さんは、後から来るそうだ」

「そうか」

「さ、野々村さん上がってください」

「おい、親父勝手に上げるなよ。ここは俺の家だ」

「なっ…⁉︎」

「だいたい、俺には婚約者がいるんだ」

「お前に婚約者?」

「あぁ…こいつ」

そう言って賢人のお父さんの前に私を立たせた

「貴女が、賢人の婚約者…?」

「はい、ご挨拶が遅れて申し訳ありません。夏川 羽花と申します」

ぺこり

「…まさかとは思うが、偽の婚約者か?」

「っ…!」

うそ…もうばれそうだなんて…

「そんなわけないだろ、ちゃんと婚約してる」

「証拠は?」

「証拠か…」

そう言って賢人は、私の左手を賢人のお父さんの前に掲げた

「婚約指輪だってちゃんと贈ったぞ」

「ふむ…」

と、お父さんが思案していると、

話に置いてけぼりになっていた美琴さんが

「あ、あの…私お邪魔でしたら一旦車に戻ります…」

「本当にすいません、うちの息子が…」

とお父さん

「いえいえ、大丈夫です。ではまた後で…」

そう言って車に戻っていった

・・・

「婚約指輪じゃ証拠にならん。こんなものお前ならすぐ用意できるからな」

そんな…どうすれば認めてもらえるんだろう…

私が絶望していると

急に賢人に抱き寄せられ、『ごめんな』と私にだけ聞こえるように言った。

そして

「…ん……っ」

え…?
なにが起きたの?

突然の事に頭がついていかない

「これでもまだ信じないか?」

うむむむ…とお父さんが唸っている

「……信じていいんだな?」

「あぁ…」

「野々村さんに何て言えばいいんだ…」

「すまないな、親父」

「まったくだ…でもちゃんと相手がいるならそれでいい…とりあえず今日は帰る事にする。今度ちゃんとうちに来るんだぞ」

「わかった」

そう言ってお父さんは帰っていった

・・・

「はぁ…行ったか…さっきは突然キスしてごめんな。っておい」

「な、なに?」

「だから、さっきは突然キスしてごめんなって」

さっき…って

「あぁ!」

「んだよ、突然でけぇ声だして」

「私賢人とキスしたの⁈」

「今頃気づいたのか…?」

私のファーストキスー…

うらめしそうな目で見てると

「ファーストキス…だった…か?」

「うん…」

「本当ごめんな!許してくれとは言わないけど…」

必死に謝ってくれてる
けど、私キスされたのあんまり嫌じゃなかった…?

じーっと賢人を見つめていると

「な、なんだよ…」

「え?、あ、いや…なんでもない!」
あー、恥ずかしい…変に意識しちゃうよ…

気まずい沈黙がながれる

「………」
「………」

沈黙を破ったのは賢人だった


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