ありがとう さよなら(短編)


「沙良…、ゴメンッ」


俺が五十嵐なんかの言う事を聞かなけりゃ、こんな事にはならなかったのに




俺だ悪いんだ…
沙良、ごめんな---





冷たくなった沙良の頬に口付ける




「目を開けろよ沙良」

俺の言葉なんて聞こえていない沙良はまぶたをピクリとも動かさずにただ、そこに沙良はいた




「お願いだ、目を開けてくれ」

沙良の頬に顔をつけ擦り寄るが、温かみが全く感じられずに心が震える





神様…


俺の命と引き換えに、どうか沙良を生き返らせてくれ---

お願いだ




しかしその願いを虚しくも聞き入れてくれる事などなくて…



俺の涙が沙良の頬にどんどんと落ちてゆく---

そして沙良と手を繋ごうと、手の平を広げた瞬間





コロン…---





俺の視界に突然入った転がる物に釘付けになる



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