俺様王子様
憧れの学園
「わー!本当にお城みたい!」

目の前にそびえ立つ校舎に思わずそんな声が出た。
真新しい制服。憧れていた学園に合格して、新しいスタート地点に立ったような気がした。

あたし、桜村朱莉(おうむらあかり)は今までパパの意向で小学校から中学校まで女子校の学校に通っていた。
義務教育が終わり、制服が可愛いからなんて単純な理由で憧れていた、麗徳学園を受験して晴れて入学できた。
ママは、玉の輿に乗れるわよ、なんて喜んだ。
そう、麗徳学園はセレブがたくさん通う学園でもあるのだ。
あたしは、特別セレブってわけでもないし至って普通の家庭の子だからうまくやっていけるのかちょっぴり不安はあるけれど、それよりも憧れの学園の生徒になれたことのほうがうれしかった。
中学生からは憧れの学園だし、勉強も頑張って、それに誰かを好きになって、初めての彼氏なんかも出来ちゃうかもしれない。
そんな妄想をするとついついにやけてしまう。

「っと!こんなことしてる場合じゃなかった!」

あたしは慌てて案内を見て走り出した。
麗徳学園は全寮制で、誰と同部屋なのか発表されるのだ。
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