幕末オオカミ 第二部 京都血風編
その後一か月ほど経ってから、14代将軍家茂様がお隠れになったという情報が、公開された。
そしてその4か月後、すっかり真冬になったころに、15代将軍が決まった……のだけど。
「一橋公がぁぁぁ~??」
思わず不満げな声を出したあたしを見て、その知らせを持ってきた銀月さんが苦笑した。
そう、15代将軍は、あの一橋公に決まってしまったのだった。
「楓さん、そんなに嫌そうな顔をしなくても……あの方も、自分で立候補したわけではなく、仕方なく即位されたわけですから」
たしかに、第二次長州征伐は中止になっちゃったし、何か月も将軍不在で、幕府側の士気が下がる一方だったか
ら……即位してくれたのはいいことなのかもしれないけど。
「だって、あの人……ちょっと、独特だったんですもん」
幹部のみんなは直接会っていないけど、あたしは罵られるは殴られるはでさんざんだったんだから。
あの時は家茂様が心配で仕方なかったんだろうけど、それにしたって、ひどい。
近藤局長が言っていた通り、武士は弱いものを守るべき者のはずなのに。
「局長みたいな人が将軍になるべきなんだよ~!!」
「……俺もそう思うが、お前はちょっと声を抑えろ」
廊下でジタバタしていると、後ろから大きな手で口をふさがれた。
この声は……鬼副長!