聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~約束の詩~

セラフィムと共に湖に飛び込むと、最初リュティアは身を切るような冷たさを感じた。が、それは不思議とすぐに包み込むようなあたたかさに変わった。

どんな水も星麗の味方、確かにその通りだと思った。

二人の存在に水が喜んで温度さえも変えているのがわかるのだ。

抜群の透明度を誇る水の中を、桜色に変わった長い髪を泳がせながら、リュティアはセラフィムについて下へ下へと潜っていった。

セラフィムの言うとおりだった、とリュティアは感激していた。

ここは水中だというのに、自在に呼吸ができる。体を取り巻く薄い光の膜のようなものがそれを可能にしているようだった。

『素晴らしいです』我知らず呟き、どうやら声も出せるらしいと気付くリュティアに、『そうでしょう』とセラフィムが微笑みながら振り返る。

巧みに泳ぐ二人を見る者があればまるで麗しい人魚の兄妹のように見えただろう。

そうしてどこまで潜っただろうか。太陽の光がわずかに届く湖の底に、それは姿を現した。

それは巨木だった。表面に幾重にも深い皺を刻んだ目を瞠るような大きさの巨木。よく見ればその内部が穿たれ、緻密な装飾まで施された建物になっているのがわかる。

―これが、神殿。湖の中に、こんな建造物があるとは。

セラフィムに手を取られ、リュティアは巨木の神殿の中へと足を踏み入れた。
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