忠犬ハツ恋
私の自宅から電車で3駅の所に大ちゃんの勤める東野学習塾はある。

良い高校を目指す中学生、良い大学を目指す高校生が通う進学を目的とした学習塾。

東野で学ぶと成績が上がるとなかなかの評判で、遠方からでも秀才がこぞって集まった。


私が塾に辿り着くと賢そうな同世代の学生が続々と建物の中に流れ込んでいるところで、
その入り口に私服で立ち尽くす私はカナリ浮いている。

東野の生徒達はそんな私が見えていないかのように、私の方をチラリとも見ること無く中に入って行った。

家を出る時に大ちゃんに今からそっちに向かうとメールしたが未だに返事は無い。
電話をしても繋がらなかった。

このままでは大ちゃんの講義が始まってしまう。そしたら90分は連絡がつかなくなる。

私はダメモトで職員専用出入口のある裏口へと回った。


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