忠犬ハツ恋
「白石はそんなに俺が嫌いなのか?」

「好きになんてなれるわけないでしょ?
……突然…あんな事するし…。」

「あんな事って俺の投薬治療?
んじゃ、突然じゃなきゃ良いんだ?」

「そういう問題じゃない!
手、離してったら!」

檜山君が自らのマスクを取るから私は咄嗟に檜山君から目を逸らす。

「白石、俺がお前の欲しいモノをやるよ。」

「な…んの話?」

「ガリ勉大ちゃんはまともにキスもしてくれねぇんだな?」

「そんな事ない!
檜山君には関係無い!!」

「俺が教えてやる。」

檜山君は私の腕を引くと私のマスクの上から唇を重ねてきた。
ゴワゴワしたマスクの向こうに柔らかで暖かな檜山君の感触。

「んっ!ヤだ!止めて!!」

「これじゃやっぱりダメだな。音が鳴らないから盛り上がりに欠ける。」

檜山君はそう言うと私のマスクを噛んで私から引き剥がす。
マスクはヒラヒラと床に落ちた。

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