忠犬ハツ恋
「ヤだ!ヤだ!止めてったら!!」

「素直じゃ無いな。愛されたくて仕方ないって顔してるくせに。」

「してない!そんな事ない!!」

檜山君は構わず私に唇を重ねる。
"ちぅっっ"と言う音が狭い保健室中に響いた。
それは大ちゃんとの間には無い甘い甘い効果音。

「白石、よく覚えとけ。
やましい事はな、バレなきゃ無かった事になる。
要はバレなきゃいいんだよ。」

檜山君はそう囁いて私の頬を伝う涙を拭うと、もう一度優しくキスをした。

バレなきゃいい?
そんなはず無い!
全てはお天道様が見てる。
壁に耳あり障子に目あり、隠し事は絶対バレるんだ!

危機感と罪悪感に包まれながら檜山君のくれる柔らかな感触に抗えない自分がいた。
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