忠犬ハツ恋
檜山君は201号室でもシャロンでも
私に何があったのか聞かなかった。

「…何も聞かないんだね?」

「聞いて欲しいなら聞いてやる。」

「ううん、いい。聞いてくれなくて。」

話したところで大ちゃんをケチョンケチョンに言うに決まってる。

東野では動揺してちょっとしたパニック状態だったが、こういう時こそ冷静になる必要があるんだ。

このまま大ちゃんを信じられずに婚約破棄でもしようもんならそれこそ詩織さんの思惑通り。

まだ大ちゃんの話を聞いていない。
大ちゃんの言い訳を。

今、檜山君の意見を聞いて大ちゃんへの不信感を募らせるわけにはいかなかった。
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