忠犬ハツ恋
「それとなぁ、お前ちゃんと携帯の管理しとけよ。
詩織に見られてるぞ。そこから美咲ちゃんの番号を探り当ててる。
どうせ携帯ロックの暗証番号を自分の誕生日とかにしてんだろ?そんなのすぐ解除されるに決まってんじゃねぇか。」

「………。
美咲はもう全部知ってるのか?」

「お前の過去の話までは行ってない。
ただ詩織がこのままジッとしてるとは思えないね。遅かれ早かれ美咲ちゃんは全てを知る事になる。」

「………クソっ!」

「だからお前から先に話してしまえって。
きちんと話せば美咲ちゃんだって分かってくれるだろ?
詩織から聞かされればショックも大きい。
しかも詩織がまともに真実を話さなかったらどうなると思ってる?」

大我の言っている事は分かる。
でもなるべくなら美咲に何も知られずにやり過ごしたかった。

俯く俺を横目に大我は椅子から立ち上がった。

「もう行くのか?まだ何も食べてないだろ?」

「これはお前の分だ。俺のは別にある。
俺は今日から夏休み明けの初講義なんだよ。
やる事山ほどあんの!お前と違ってね。」

「……いちいち嫌味だな大我は。」
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