忠犬ハツ恋
シンジラレナイ!
檜山君が東野に通い出してからシャロンに誘われなくなっていた。

東野の講義はそんなに大変なのか前みたく遅刻欠席は無いものの、檜山君は学校の授業中ずっと机に突っ伏して寝ていた。
でも先生に当てられると気怠そうに頭を上げ正解を答える。
寝ているように見えて先生の話は聞いていた。

こういうのって睡眠学習って言うんだっけ?

「こう檜山ってさ、一見ワルに見えて実は秀才ってちょっとムカつくよね。」

茜ちゃんはそう言いながら檜山君のノートを写していた。

確かに見るからにガリ勉の子よりも、よく出来る不良っぽい檜山君の方が不思議とカッコいい。
それは多分真面目な子からすると気に食わない事だろう。

でも檜山君の不良の仮面はこのところ剥げつつあった。

檜山君の秀才ぶりが飛び抜けている事が知れ渡り出し、ここに来て檜山君のノートは見やすくて分かりやすいと人気だった。
それは隣のクラスからも借りに来るほどで…。

「人は見た目が9割って言うらしいよ。
だからさ、檜山君はこの長い前髪をどうにかすればいいんじゃ無いかと思うんだけど?」

私は昼休みでさえ隣の机に突っ伏している檜山君に聞いた。

檜山君は顔を少し横に向ける。

やっぱり檜山君は机に突っ伏していても人の話は聞いていた。
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