忠犬ハツ恋
「俺は全然迷惑してないよ。
自宅で夕飯を女子高生と取れるなんて滅多にない。」

一色先生はそう言って私にウィンクした。
大ちゃんは分が悪そうにして小さく呟く。

「分かったよ。
大我は悪くない。
大我、疑って悪かった。」

「どういたしまして。」

大ちゃんは近くのソファーにため息混じりに腰掛ける。

「俺に会いたくないという美咲の気持ちも分かった。
けどここで朝を迎えるわけには行かないだろ?
行こう、家まで送るから。」

大ちゃんは私と目線を合わせ私に向かって真っ直ぐ右手を差し伸べる。

「俺は別にいいけどね、美咲ちゃんにここで朝を迎えてもらっても。」

そう言う一色先生を大ちゃんは睨む。
一色先生はそんな大ちゃんの視線なんてお構いなしで私に聞いた。

「美咲ちゃんはどうしたい?
俺が送ってやってもいいけど。」

大ちゃんの言う通りここでこれ以上一色先生に甘えるわけには行かない。
でもこれから大ちゃんの車に乗って家までの道のりの車内の空気を思うと、とてもじゃないが居心地の悪さ満載。

「一色先生……、送ってもらってもいいですか……?」

「OK!自慢のフェラーリに乗せてあげよう。」

一色先生は私の手を握って玄関へと誘導する。
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