忠犬ハツ恋
少し混み合う電車の中で檜山君は私を守るように立っていた。

……この間はヘッドロックしたクセに。
こういう時に紳士ぶるのはズルい。


…でも不思議だった。
檜山君とは席も何時の間にやら隣になり檜山君の様子はよく見える。
それなのに学年トップの努力みたいなのが少しも感じられなかった。

努力してるのを人に見られるのがキライなタイプなのかな?
自宅で必死に勉強してたりして…。

前髪で隠された瞳をこっそり覗くとバッチリ檜山君と目が合った。

「何?」

「いや……檜山君っていつ勉強してるのかな〜って。
授業ほとんど午後しか出てないのに学年トップなんでしょ?
この間檜山君が亜希子先生が話してるの聞いちゃって。」

「…家庭教師のおかげかな?」

「家庭教師?」
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