忠犬ハツ恋
「白石、イチゴジャムとオレンジママレードどっちがいい?」

突然檜山君がそんな事を言うから朝食にトーストでも焼いてくれるのかな?と少し考えてから
「………チョコソース…。」
と答えた。

「お前なぁ〜、選択肢の中から選べよ。」

檜山君は笑いながら私のおでこにデコピンして寝室を出て行く。

「痛ッッ〜!!」

ふと考えると朝食を誰かに作ってもらうなんてカナリ久しぶりだ。
お母さんがたまに帰って来ても私の方が起きるのが早いから朝食は結局私が作ることになる。

大ちゃんと朝を過ごしても大ちゃんに朝食を作らせるわけには行かないとつい頑張ってしまうし。

ゆっくりと身体を起こすと下腹部に鈍い痛みを感じた。その痛みが昨晩の事は現実なんだと知らしめる。
痛みに耐えながら床下に脱ぎ捨てられた衣服に手を伸ばした。

ふと自分の胸元に婚約指輪が無いことに気づく。
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