忠犬ハツ恋
すれ違う恋心
家を出る前に大ちゃんに一言言い渡された。

「檜山にも近づくなよ。」

そんな事言われても同じクラスだし席は隣だ。
こればっかりは私の力でどうする事も出来ない。


自分の気持ちに気が付いた今、私は早く檜山君に会いたかった。

昨日檜山君に"美咲は俺のもんだ。そうだろ?"と問われて何も言えずに逃げた。

今ならきっと目を逸らさずに言える。
"檜山君が好き"だと。

散々宙ぶらりんのまま檜山君を振り回して来た。
"お前が大ちゃんから欲しいものを俺がやる"と"身代わりでいい"と言う檜山君に甘えて来た。
まずはそれを謝りたい。

私は檜山君目掛けて走り続けた。
< 422 / 466 >

この作品をシェア

pagetop