忠犬ハツ恋
BAR SNOW
一色先生は私を落ち着いたバーへと連行した。
制服姿の私には最も相応しくない場所だ。

「一色先生、こんなとこで私と捕まったら大変ですよ。」

「だから俺の事は"大我お兄ちゃん"だからね?
敬語もNG!!」

地下へと続く階段を下りながら一色先生は楽しそうに私に念を押した。

扉が開くとそこは狭い店内に金髪の長い髪を1つに束ねたやたら身長の高い女性と、耳にこれでもかとピアスをした細身の男性がカウンターにいて一色先生を認めるとその女性は一色先生に抱きついて頬にキスをした。

「あらやだ!随分とご無沙汰だったじゃないの。何してるのかと思ったら東野の講師が女子高生と援交?
大我ちゃん、やるぅ。」

「この子、俺の妹。
………って事にしといてもらえる?ユキさん。
それとさ、奥、空いてるかな?」

ユキさんと呼ばれた方は私をジッと見て柔らかく微笑むとドスのきいた声で私に告げる。

「身の危険を感じたら私を呼ぶのよ、お嬢さん。
直ぐに助けてあげるから。」

その声色でユキさんの正体が判明した。
ユキさん、男の人だ。

「……ありがとう…ございます。」
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