忠犬ハツ恋
「拓ちゃん、そいつ見逃して。」

その時ずぶ濡れで息を切らして現れたのは檜山君だった。

「おぉ、圭太。何?この子、お前の彼女?」

「違うけど…。
拓ちゃんそいつは不良じゃない。補導しなきゃならないのはもっと他にいるだろ?」

「悪いがな圭太、これが俺らの役目なの。
不良の目を摘むのもそうだけど、不良になりかけの目も摘まなきゃならないの。」

「だから、そいつは違うって!!」

「うるさいよ。ガタガタ言うとお前も補導するぞ!
だいたいなぁ、お前の高校バイト禁止だろ?」

「俺のはバイトじゃない。家業だ。」

檜山君とこの補導員はどうやら知り合いのようだ。
檜山君を巻き添えにしてしまったのは申し訳なく思うが、今や私の運命は檜山君にかかっているような気がする。
私はおとなしく事の成り行きを見守る事にした。
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