漆黒の花嫁 - リラの恋人 -
家に帰って、ちゃんと忘れずに苺にメールを送った。
ちょっと遅かったから、
きっと寝てたよね。
あたしが最後に送ったメール、読んでくれた?
そう。
まるで、
あたしはこれが最後なのかも知れないというような内容を、苺に送っていた。
まさか、もう会えなくなるなんてほんの少しも疑ってなかったけれど。
もしもこのまま会えなくても、
あたしが苺に心から感謝してるってきっと伝わってるよね?
ねぇ、苺。
本当にありがとね。
メールを送った格好のまま、あたしはベッドの上でまどろんでいた。
片手には、さっき何故か拾ってしまった不思議な楽器。
夢心地の意識の中。
遠くで、
知らない男の人が、
知らない国の言葉で、
優しく、悲しげに歌っている声が聞こえていた。