*甘いモノ*
「もー、梓ったらなんでそんなに亜樹君に冷たいのよ~..亜樹君、可哀想。」
「何言ってんの、あんなに美男なんだからアタシにひとつやふたつ皮肉言われてもどーってことないよ」
お手洗いへ寄る道中、香菜にそんなことを言われた。
でも私は気にしない。
だってアイツならあたしなんかに好かれなくても女の子が寄ってくるんだから。
.....いや、本当はその事に嫉妬しているのかもしれない。
別に亜樹が好きとかそんなんじゃなくてモテるってことに。
亜樹は昔から容姿端麗であり、誰にも愛想がいい所からすぐに人が集まってきた。
それとは対に私は冴えない女の子、おまけにぶすっとしていたものだからあまり人と関わることがなかった。
そしてお互いに成長し、高校一年生となった今。
亜樹の容姿端麗さ相変わらずで昔と変わらず男女に大人気。そして"D組の君"なんていうあだ名までつけられる始末。
噂では二日に一辺は女子に告られているんだとか。
一方の私は一応綺麗にする事は覚えたけど以前と変わらないまま。
前よりは友達が増えたかも知れないけれど、声を友達以外からかけられることは一週間に一度あるかないか。
こんなにも幼馴染みに正反対な奴がいて、誰が嫉妬しないと言えるのだろうか。
そりゃ女子なら好きになるかもしれないけどさ、
私はそんなことより嫉妬の気持ちが優先していた。